F1種とは?

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 F1品種という言葉をどこかで聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。
言葉として知っていても、具体的にどういったものなのかを知らない方のために、今回はF1品種について解説いたします!

 そもそもF1とは「雑種第一世代(First Filial Generation)」の略です。F1品種は、親世代の作物が持つ優勢(遺伝の)の好ましい性質同士を掛け合わせて、良い品種を開発したもので、これは、皆様が昔勉強したメンデルの「優勢の法則」をそのまま利用したものです。遺伝的に両親の形質を半分ずつ受け継いだ子には、両親の持つ形質のどちらかが現れます(両親のどちらかに似ます)。

 この時、形質の現れ方に特徴があり、子に優先して現れるものを優勢遺伝、そうでないものを劣性遺伝と呼ばれていました。ただし、最近では顕性遺伝(けんせいいでん)、潜性遺伝(せんせいいでん)と呼ばれるそうです。これは、優性/劣性の表記は、受け継がれた遺伝の機能そのものの優劣を表すものではなく、単に発現する、しないの違いという所から、適切でないとされたことによるそうです。

 以下の例ですと、大文字が顕性、小文字が潜性、Sが尾の長さ、Bが毛の色になります。尾が短かく(顕性)色が白い(潜性)の猫と、尾が長く(潜性)、色が茶(顕性)の猫が交配するとF1(第一世代)は両親の顕性遺伝のみが発現します、つまり、全て尾が短く、色が茶の猫になります。F2(第2世代)になると潜性遺伝が3:1の割合で発現します。
(尾が短い猫12匹:尾が長い猫4匹。茶の猫12匹:白猫4匹)

メンデルの法則
英語版ウィキペディアのTocharianneさん – en.wikipedia からコモンズに移動されました。, パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=3572144による

 このような遺伝の特性により親の優れた形質を受け継ぐほか、遺伝的に異なる品種同士を掛け合わせることで生産性や、耐病性を持つことがあり、これを雑種強勢(ヘテロ―シス)と言います。雑種強勢の程度は、両親同士の遺伝的な違いの程度に関係するそうで、F1(第一世代)に最も強く表れ、世代が進むごとに減少するそうです。つまりF1品種は、農作物として一番おいしい所を利用できるように開発された品種ということです。ここまでだといいことばかりのようですが、このF1品種、ある弱点があります。それはF1というその名の通り、1世代しかその優れた性質を利用できないところになります。

 なぜなら、F2(第2世代)以降は、F1品種に意図的に発現させていた顕性遺伝(優勢遺伝)のみが現れるのではなく、潜性遺伝(劣性遺伝)も現れるため、安定した品質が見込めなくなるのです。そのため農家はF1品種を採種して再栽培することができないため、農家は毎回、種苗会社から種を買わなければならないことになります(種苗会社にとっては種の販売機会が増えるのでメリットになります)。
 このように、F1品種は、品質面で大きなメリットがある一方、経済的なデメリットも小さくない品種になります。よく、種苗会社による支配、、なんて言いますね!

 農産物には、F1品種のほか、固定種というものがあります。固定種というのはF1品種のように一度限りというものでなく、自家採種により親から子へ安定してその形質が受け継がれて来たものです。在来種や、伝統的な品種がこれに当たります。一度栽培した後も、種を取り、栽培したいという方は、固定種が選択肢となります。

 ただし、F1品種と比べると、その遺伝的な多様性(顕性、潜性遺伝双方の発現により)により、環境の変化に強い反面、品質が安定しない場合があります。
皆様も種や苗を購入する際の参考にしてみてください!

参考サイト アクセス日 2023/03/08
たねとみつばち 土と太陽-固定種・在来種・F1・遺伝子組み換えのたねの違いについて
株式会社京谷商会-F1種とは?野菜のタネの品種改良、固定種との違いについて解説
施設園芸.com- F1種ってどんな種?固定種との違いや見分け方とは
minorasu -F1種とは? 固定種との違いやメリット・デメリット、危険という誤解
コトバンク-雑種強勢
Wikipedia-メンデルの法則
一般社団法人 日本循環器学会-優性遺伝と劣性遺伝に代わる推奨用語について

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